唇裂鼻の治療で私が大切にしている3つのポイント

唇裂鼻の患者さんから、

  • 鼻が曲がっている
  • 左右差が気になる
  • 鼻の穴の形が違う
  • 鼻先が低い
  • 鼻先が丸く大きい

といったご相談をいただくことがあります

しかし、唇裂鼻の変形は単純に鼻を高くしたり、左右を揃えたりするだけで解決できるものではありません。

唇裂鼻では、

  • 上顎骨の発育不足
  • 鼻中隔の偏位
  • 鼻翼軟骨の変形
  • 鼻孔縁の変形
  • 過去の手術による瘢痕

などが複雑に関係しています。

そのため私は、単に鼻の形を変えるのではなく、

  • 患者さんにとって自然な正中ラインを見つけること
  • 鼻の穴の左右差を整えること
  • 鼻先を整え、お顔との自然な調和を目指すこと

を大切にしています。


目次

1. 患者さんにとって自然な正中ラインを見つけること

唇裂鼻では「正中」がひとつではありません

一般的には、左右の瞳孔を結んだラインを基準に顔の中心を考えることが多いと思います。

しかし唇裂の患者さんでは、

  • 瞳孔を結んだラインの垂線
  • 上顎の正中
  • 下顎の正中
  • 歯列の正中
  • 上口唇の正中

が一致していないことが少なくありません。

さらに、長年ご自身の顔を見て生活している中で、

患者さん自身が認識している「顔の中心」

が存在します。

場合によっては、瞳孔を結んだラインそのものをわずかに傾けた状態で顔のバランスを認識していることもあります。

そのため、解剖学的な正中と、患者さんが自然だと感じる正中が一致しないことがあります。


コンピューターシミュレーションだけでは分からないこと

最近ではシミュレーションソフトも発達しています。

しかし私は、シミュレーションだけで鼻の向きを決めることはできないと考えています。

患者さんがどのラインを顔の中心として認識しているのかは、実際に診察をしながらお話ししなければ分からないからです。

私は診察の際、患者さんと鏡を見ながら、

「どこに鼻先を向けると最も自然に感じるのか」

を一緒に確認しています。


術前のすり合わせが非常に重要です

唇裂鼻では、術前は鼻先が丸く、鼻の輪郭がぼんやりしていることが少なくありません。

しかし手術によって鼻先が整うと、これまで目立たなかった軸のずれがはっきり見えるようになります。

術後になって初めて、

「思っていた方向と違う」

という違和感が生じることもあります。

だからこそ私は、手術前の段階で患者さんと十分に相談しながら、どのラインに鼻を合わせるのかを慎重に検討しています。


2. 鼻の穴の左右差を整えること

鼻の穴は唇裂患者さんにはとって特別な悩み

唇裂鼻の患者さんとお話をしていると、鼻の穴の左右差を強く気にされていることが少なくありません。

美容目的の鼻整形を希望される患者さんと比べても、その傾向は強いように感じています。

私自身、その理由の一つは、鼻の穴の左右差が幼少期から存在しているためではないかと考えています。

成人になってから気になるようになる斜鼻や鼻先の下垂とは異なり、鼻の穴の左右差は幼い頃から鏡を見るたびに目に入っていた変形です。

そのため、

「ここが良くなれば普通になれるのに」

という思いを長い年月抱え続けてこられた患者さんも少なくないように感じています。


鼻の穴は皮膚だけでは整わない

唇裂鼻の手術では、鼻先の高さや向きは改善していても、鼻の穴の左右差が残っていることがあります。

鼻の穴の形は単純に皮膚だけを整えても改善できません。

なぜなら、

  • 上顎骨の陥凹
  • 鼻翼の位置異常
  • 鼻翼軟骨の変形
  • 鼻孔上縁の落ち込み

など、複数の構造によって決まっているからです。

私はまずベースとなる骨格や鼻翼の位置を評価し、その上で鼻の穴の形を整えることを大切にしています。


鼻孔上縁をいかに調整するか

特に唇裂鼻では、鼻孔上縁の落ち込みが目立つことが少なくありません。

私はこれまで様々な工夫を積み重ねながら、

  • 鼻翼軟骨と皮膚の位置関係のずれを修正する
  • 鼻孔上縁の支持を再建する
  • 必要に応じて鼻孔縁へ軟骨移植を行う

などの方法を組み合わせて治療を行っています。

第三者から見ると、

「そこまで左右差はありませんよ」

と思える状態であっても、患者さんにとっては長年気になり続けてきた部分です。

だからこそ私は、そのお悩みにできる限り向き合い、少しでも改善できるよう努めています。


3. 鼻先を整え、お顔との自然な調和を目指すこと

高さだけでも位置だけでもありません

唇裂鼻の治療では位置の修正が重要ですが、それだけでは十分ではありません。

横顔の美しさを考えると、鼻背から鼻先へ自然につながる高さやラインも必要になります。

私は、

  • 鼻先の高さ
  • 鼻先の向き
  • 鼻柱の位置
  • 鼻の穴の形
  • 顔全体とのバランス

を総合的に評価しながら治療計画を立てています。


団子鼻の改善も重要な要素です

成人唇裂鼻では、これまでの手術による瘢痕や軟骨変形の影響で、鼻先の輪郭がぼんやりし、団子鼻のような印象になっていることがあります。

そのため私は、単純に鼻先を高くするだけではなく、

鼻翼軟骨の位置や形態を整えながら、鼻先の輪郭をより自然に表現することを大切にしています。

鼻先がすっきりすることで、

鼻全体の印象が軽くなり、

お顔との調和も得られやすくなります。


目指しているのは自然に馴染む鼻です

私が目指しているのは、定規で測ったような完全な左右対称ではありません。

また、誰が見ても手術をしたと分かる鼻でもありません。

唇裂だったことを意識させず、その方のお顔の中で自然に馴染む鼻です。

正中ライン、

鼻の穴の左右差、

鼻先の輪郭、

そして横顔のバランス。

それらを一つひとつ丁寧に整えながら、その方らしい自然な鼻を目指しています。

診断が変われば、治療は変わる。

だからこそ私は、丁寧な診察とカウンセリングを大切にしています。

よくあるご質問

Q. 大人になってからでも治療できますか?

A. はい。成人になってから治療を希望される患者さんも多くいらっしゃいます。

Q. 鼻づまりも改善できますか?

A. 原因によりますが、鼻中隔弯曲の改善で多くの患者さんが鼻づまりの改善を実感して頂いています。

Q. 唇裂鼻の治療は一度で終わりますか?

A. 基本的に一度の手術での改善を目指します。経過を見て局所麻酔で可能な範囲での調整を行うこともあります。

Q. 見た目だけでなく機能も改善できますか?

A. 私は見た目だけでなく、呼吸機能や鼻の支持構造も重視して治療を行っています。

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著者・監修

勝部 元紀

形成外科専門医・指導医
美容外科専門医(JSAPS)
医学博士(京都大学)

京都大学形成外科にて、口唇口蓋裂や顎顔面領域の診療・研究に従事してきました。
美容外科では鼻形成を専門とし、初回手術から他院修正、唇裂鼻まで幅広く診療しています。

治療に関するご相談

鼻整形や唇裂鼻治療、美容外科治療に関するご相談を承っております。

治療について気になることやご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

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