他院で複数回の鼻形成術と斜鼻修正術を受けたものの、斜鼻変形が残存し、さらにピンチノーズを生じてしまった患者さんです。
右側唇裂鼻による左右差に加え、耳鼻科手術による鼻中隔支持組織の不足も認めました。
斜鼻修正、鼻尖再建、支持構造の補強に加え、中顔面の陥凹に対して貴族手術を併用することで、鼻だけでなく顔全体のバランス改善を目指しました。
- プリザベーション法による斜鼻修正
- ピンチノーズの改善
- 損傷した大鼻翼軟骨の再建
- 鼻中隔支持構造の補強
- 鼻孔左右差の改善
- 貴族手術による中顔面の立体感改善
- 顔全体の調和を意識したデザイン
術前のお悩み、診察所見








患者さんは過去に複数回の鼻形成術と斜鼻修正術を受けておられましたが、鼻の曲がりが残存し、鼻先が不自然に細くなった「ピンチノーズ」の状態となっていました。
また、元々右側唇裂鼻による左右差があり、鼻孔形態にも左右差を認めました。
さらに耳鼻科で施行された鼻中隔弯曲症手術の影響で、骨性鼻中隔が広範囲に切除されている状態でした。
加えて鼻翼基部の陥凹も認め、中顔面の立体感が不足している状態でした。
変形の原因
今回の変形は複数の要因が重なって生じていました。

まず、患者さんにはケガによる鼻骨骨折後の斜鼻変形があり、その治療目的で他院美容外科を受診されていました。
しかし診察を行うと、変位した鼻骨はほぼそのまま残存しており、鼻骨先端の一部のみが削られている状態でした。
斜鼻変形は単純に骨を削れば改善するものではなく、変位した鼻骨そのものを適切な位置へ戻す必要があります。
さらに耳鼻科手術によって鼻中隔支持組織が大きく減少しており、鼻中隔延長や斜鼻修正を行う際の安定性も低下していました。


また、過去の鼻尖形成術によって大鼻翼軟骨が切断されており、本来鼻先を支えるべき重要な支持構造が失われていました。
「鼻先を細くしたい」という希望は多くの患者さんがお持ちですが、そのために大鼻翼軟骨へ過度な切除や損傷を加えてしまうと、将来的に変形や機能障害を引き起こすことがあります。
その結果、この患者さんでは鼻先が不自然に細く絞られた、いわゆるピンチノーズの状態となっていました。
また、元々の右側唇裂鼻による鼻翼軟骨の左右差や鼻中隔偏位も存在しており、鼻の曲がりや鼻孔左右差の原因となっていました。
加えて唇裂鼻では鼻の変形だけでなく、鼻翼基部の陥凹や中顔面のボリューム不足を伴うことがあります。
今回の患者さんにも鼻翼基部の後退が認められ、鼻だけを整えても顔全体としての調和が得られにくい状態でした。
手術方針と内容
患者さんは「自然な鼻」を希望されていたため、鼻の高さを大きく変えるのではなく、本来あるべき構造を再建することを重視しました。
まずプリザベーション法を用いて斜鼻を修正し、鼻骨の軸を整えました。
この症例では耳鼻科手術によって骨性鼻中隔が大きく切除されていたため、通常以上に慎重な操作が必要でした。
プリザベーション法では鼻中隔から鼻骨を離断するため、支持構造を適切に温存・再建しなければ鞍鼻変形を生じる危険があります。
次に損傷した大鼻翼軟骨を再建し、失われていた鼻先の支持構造を回復させました。
さらに支持力が低下していた鼻中隔を補強しながら鼻尖位置を調整し、唇裂鼻による鼻孔左右差も修正しました。
加えて、中顔面の陥凹に対して貴族手術を行い、鼻翼基部の支持と立体感を補強しました。
美容外科的手技と形成外科的再建手技を組み合わせながら、鼻だけでなく顔全体のバランス改善を目指しました。
- 鼻骨骨切り(プリザベーション法)による斜鼻修正
- 鼻中隔支持構造の補強
- 鼻尖位置の調整
- 損傷した大鼻翼軟骨の再建
- 鼻孔左右差の修正
- 貴族手術による鼻翼基部の補強
- 全体バランスの最終調整





手術結果(術後3ヶ月)







術後は鼻筋の曲がりが改善し、正面から見た左右差も軽減しました。
過度に細くなっていた鼻先には自然な丸みが戻り、ピンチノーズ特有の不自然な印象が改善しています。
また唇裂鼻に伴う鼻孔左右差も改善し、より自然な鼻の形態を獲得することができました。
さらに中顔面の陥凹に対して行った貴族手術により、鼻翼基部から頬にかけての立体感が向上し、顔全体のバランスも改善しています。
患者さんのご希望通り鼻の高さは大きく変えず、自然な印象を保ちながら構造的な問題を改善することができました。
- 斜鼻変形の改善
- ピンチノーズの改善
- 鼻先の自然な丸みの再建
- 鼻孔左右差の改善
- 唇裂鼻による非対称性の改善
- 中顔面の立体感向上
- 顔全体の調和改善
- 支持構造の再建による長期安定性の向上
術前術後比較










術後を振り返って
今回の症例は、唇裂鼻、外傷後斜鼻、複数回の鼻形成術後変形、ピンチノーズ、さらに鼻中隔支持構造の欠損が重なった非常に難易度の高い修正鼻症例でした。
修正鼻では単に鼻を高くしたり細くしたりするだけではなく、現在の鼻がなぜその形になっているのかを構造的に分析することが重要です。
鼻骨、鼻中隔、大鼻翼軟骨をそれぞれ丁寧に評価し、失われた支持構造を再建しました。
また鼻だけではなく、中顔面の陥凹に対してもアプローチすることで、顔全体としての調和改善を目指しました。
術後には自然な鼻先の丸みと立体感が回復し、患者さん本来の魅力を引き出すことができたのではないかと思います。
患者さんから「先生に会えてよかったです」とお言葉をいただけたことは、私自身にとっても大きな喜びでした。
よくあるご質問
Q.ピンチノーズとは何ですか?
鼻先が過度に細くなり、つままれたように見える状態です。軟骨の切除や変形によって生じることがあります。
Q. 修正鼻でも自然な鼻にできますか?
可能です。ただし単純に高さや細さを追求するのではなく、支持構造を再建しながら全体のバランスを整えることが重要です。
Q. 唇裂鼻による左右差も同時に改善できますか?
症例によりますが、多くの場合は鼻孔左右差や鼻翼変形を同時に改善することが可能です。
Q. 鼻中隔が過去の手術で少なくなっていても修正できますか?
残存する組織の状態を評価しながら補強や再建を行うことで対応できる場合があります。
Q. 貴族手術はどのような効果がありますか?
鼻翼基部や中顔面の陥凹を補い、横顔や正面から見た立体感を改善します。鼻単独ではなく顔全体の調和を高める効果があります。
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著者・監修
勝部 元紀
形成外科専門医・指導医
美容外科専門医(JSAPS)
医学博士(京都大学)
京都大学形成外科にて、口唇口蓋裂や顎顔面領域の診療・研究に従事してきました。
美容外科では鼻形成を専門とし、初回手術から他院修正、唇裂鼻まで幅広く診療しています。
治療に関するご相談
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治療について気になることやご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。







