【高度鞍鼻変形】平坦な横顔と鼻詰まり

幼少期から鼻の低さと鼻づまりに悩まれていた30代女性です
診察では鼻中隔の発育不足に伴う低鼻、中顔面の陥凹、口唇支持不足を認めました。
Structure Rhinoplastyの考え方を応用し、肋軟骨を用いて鼻と中顔面を同時に再建しました。
術後は見た目だけでなく鼻づまりも改善し、術後3年経過した現在も安定した状態を維持しています。

今回の治療のポイント

・ 鼻中隔の低形成による高度な低鼻および中顔面低形成
・Structure Rhinoplastyと肋軟骨移植を組み合わせて再建
・見た目だけでなく鼻閉症状も改善し、術後3年間良好な経過

目次

術前のお悩み、診察所見

30代女性の患者さんです。

幼少期より鼻の低さを自覚されていましたが、これまで鼻の治療を受けたことはありませんでした。美容外科を受診された際にご紹介いただき、当院を受診されました。

診断としてはBinder phenotype(Binder症候群様顔貌)と考えています。厳密な診断基準は満たしていませんが、鼻中隔の低形成を背景とした中顔面および鼻の発育不全という点で病態は近いものと考えています。

診察では高度な低鼻を認めました。鼻中隔の形成不全に伴う中顔面の陥凹が強く、上口唇の支持も不足していたため、口唇が閉じにくい状態でした。一方で咬合には問題がなく、通常であれば選択肢となるLe Fort骨切り術の適応はありませんでした。

また、外見上の問題だけでなく鼻づまりも強く、耳鼻科への通院が日常となっていました。

変形の原因

「鼻が低いこと」が一番のお悩みでしたが、実際には鼻だけの問題ではありませんでした。
鼻の土台となる構造の発育不足によって、中顔面の陥凹や鼻づまりなど、さまざまな症状が生じていました。

この患者さんの変形の主な原因は鼻中隔の低形成です。

鼻中隔は鼻の中央にある「柱」の役割を果たすだけでなく、中顔面の発育にも大きく関与しています。

そのため鼻中隔の発育が不十分な場合、鼻が低くなるだけでなく、中顔面全体の立体感が失われ、上口唇の支持不足や口唇閉鎖不全を生じることがあります。

また、軟骨性外鼻の支持力低下によって鼻腔が狭くなり、慢性的な鼻閉症状の原因にもなります。

手術方針と内容

この症例では、鼻中隔の低形成によって鼻だけでなく中顔面にも強い陥凹を認めていました。

そのため単純に鼻を高くするのではなく、肋軟骨を用いて鼻と中顔面の土台を再建する方針としました。

また、落ち込んだ鼻軟骨を再配置することで、見た目だけでなく鼻づまりの改善も目指しました。

このような症例では肋軟骨をL字型に加工して移植する方法が広く行われています。

しかし本症例では、単純なL字移植では鼻背が過度に高くなる可能性や、鼻尖位置の細かな調整が難しいという問題がありました。

そこで肋軟骨を使用しながらも、Structure Rhinoplastyの考え方を応用して再建を行っています。

手術の流れ

① 肋軟骨の採取・加工
まず肋軟骨を採取し、鼻の土台として使用できる形状に加工します。

② 鼻柱・鼻翼基部への移植
加工した肋軟骨を鼻柱から鼻翼基部にかけて移植します。これにより鼻だけでなく、中顔面の陥凹も同時に改善します。

③ コルメラストラットの設置
移植した軟骨にコルメラストラットを組み合わせ、鼻先を支える安定した支持構造を作ります。

④ スプレッダーグラフトと鼻軟骨再配置
スプレッダーグラフトを用いて鼻中隔と連結しながら、内側に落ち込んでいた鼻軟骨を本来の位置へ再配置します。これにより鼻の通りの改善も期待できます。

⑤ 最終調整
鼻先の高さや向き、左右差を微調整しながら仕上げます。

手術結果(術後3年)

鼻だけでなく中顔面全体の立体感が改善し、顔貌に大きな変化を得ることができました。

鼻筋が通ることで横顔のバランスも改善し、上口唇の支持も得られたことで口元の印象も自然になりました。

また、鼻閉症状についても改善を認めました。

患者さんにも大変満足していただくことができました。

改善したポイント

✓ 鼻中隔の低形成による低い鼻を改善

✓ 中顔面の陥凹を改善し、横顔の立体感を向上

✓ 上口唇の支持を再建し、口元のバランスを改善

✓ 狭くなっていた鼻腔を拡大し、鼻づまりを改善

✓ 鼻だけでなく顔全体のバランスを整え、自然な印象を実現

術後を振り返って

かなり高度な鼻変形でしたが、見た目だけでなく機能面も改善することができました。

術前は鼻づまりのため耳鼻科への通院が日常だったそうですが、手術後の3年間は耳鼻科を受診することなく過ごせているとのことでした。

鼻形成では見た目の変化に注目されがちですが、呼吸機能も同じくらい大切です。両方を改善できたことを私自身も嬉しく思っています。

もともと明るい患者さんでしたが、自信がついたことでさらに表情が明るくなられたように感じました。

このような変化量の大きな手術では、術後の後戻りや皮膚状態の悪化が問題となることがあります。しかし本症例では術後3年が経過した現在も大きな変化はなく、非常に安定した経過をたどっています。

通常の鼻形成では術後6か月程度を目安に診察を終了することが多いですが、このような高度変形症例では長期的なフォローが重要です。

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著者・監修

勝部 元紀

形成外科専門医・指導医
美容外科専門医(JSAPS)
医学博士(京都大学)

京都大学形成外科にて、口唇口蓋裂や顎顔面領域の診療・研究に従事してきました。
美容外科では鼻形成を専門とし、初回手術から他院修正、唇裂鼻まで幅広く診療しています。

治療に関するご相談

鼻整形や唇裂鼻治療、美容外科治療に関するご相談を承っております。

治療について気になることやご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

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